人生の交差点

 人生の交差点

                    

 1・ 信長

 

 この世に生まれた人間は、皆自分の意志に従って目の前に無数に表れる交差点を自由自在に進んでいく…。そして最後に「是非に及ばず」と死に到着するのである。

 歴史上の人物で日本人に一番の人気者は信長であり、信長は「是非に及ばず」と、若干50才で納得して死にのぞみました。

信長には、男児十一人、女子十人の子宝に恵まれました。 ( この他に養女が二人いるが、実子ではないのでここには含めていない。) この時代、姫たちは敵国へ同盟の証として嫁入りさせられる政略結婚が多かったが、信長は信頼している同盟国(徳川)や自分の家臣や公家に嫁がせている。 政略結婚の場合、いつ自分の実家が敵国になるか分からない。 そのようなことで苦しむことがないように、信長は娘たちが安心して幸せに暮らせるように色々配慮しました。

 現代人が信長にあこがれるのは、やはり思いのまま生き、さっぱりと死んでいった信長への羨望からなのでしょうか。

 

 2・ 徳川光圀

 

 旅をしながら悪人の成敗をする。水戸黄門の話が好きでわたしはよく映画を見ます。

 黄門さんと助さん、格さんの発展抜刀の働き、あれはすべて後世の人が作った楽しいお話です。

 1628年生まれの水戸光圀水戸藩の第二代藩主となった時代の水戸藩は、年貢を納めない者には拷問を行うなどの圧政が続き、藩内で農民一揆が頻発した時代でした。

 しかし光圀は、蝦夷探検と海外貿易を推進するために幕府から1万両の借金をして巨大な船を建設し藩の財政を圧迫しました。

 それでも光圀の未来への行動力は止まらず、 日本国の歴史を描いた歴史書大日本史』の編纂のため、全国から学者を集めた。

 その費用は何と藩の財政の4ぶんの1にも達したのである。

 『大日本史』は尊王思想を説いたもので、これが水戸藩尊王派の中心的存在になった理由である。

 この書があるため、9代藩主斉昭(なりあき)の時代には吉田松陰高杉晋作などの多くの尊王志士が水戸藩を訪れている。その際に水戸藩は光圀の偉大さを宣伝し、光圀が隠居生活を送ったあまりに質素な西山荘の佇まいを見て、志士たちは感動したといいます。

 

 3・名城熊本城

 

 昨年改築され、現代も名城として有名な熊本城は元は中世に茶臼山丘陵に建てられた千葉城と同じ山城でありました。これらの城を参考に加藤清正が1603年から6年間かけて完成したのです。

清正流という大城郭を整えた熊本城が出来上がりました。清正流と呼ばれる石積みで造られた石垣の上に御殿、大小の天守閣が建てられ、大名の城としては日本一だと言われました。

 熊本城は銀杏城という別名がありますが、それは築城が完成した後、清正が天守閣の前に銀杏の木を2本植えて、この銀杏が天守閣と同じ高さになったとき乱が起こると予言したことによります。

 そして銀杏の木が天守閣と同じ高さになったとき、清正の予言通り重大事件が起こったのです。

 1877年(明治10年2月15日)に西南戦争が起こると西郷隆盛の軍が鹿児島から北上して22日に熊本城を包囲しました。

 西郷は熊本城を守るのは百姓・町人だからすぐに陥落すると考えていました。

 しかし熊本城の司令長官・谷(たに)干(たて)城(き)が指揮する兵は百姓・町人で編成されていたものの堅牢で攻めにくい城のです。ですから、約50日間も籠城して、応援に駆け付けた政府軍によって西郷軍は敗北し、鹿児島まで敗走し、西郷軍は城山で玉砕したのです。

 

 4・真田一族 

 

 真田幸村は小説やテレビによく登場する人気のある人物です。

 10年ほど前に、光武さんと三重県の津市から交代運転で鹿児島まで車で行ったことがあります。  

その時、ちょうど真田家がテレビでも放映されていた時期で山の中から海岸線まで沢山の真田家の旗がひらめいていたのでした。

 歴史をひも解くと関ヶ原の合戦直前、真田昌幸と二人の息子信之、幸村は共に徳川家康の軍に加わって会津の上杉を攻める戦いに参加していました。その戦いの中で石田三成からの密書が届きました。家康を打倒するための挙兵を告げるものでした。

 これに対して真田家の家族会議が開かれました。ドラマではこの場では兄弟の激論が展開され信之だけが家康の側につくことになります。真田の家計を残すためと信之が家康の家臣であり、徳川家の重臣本田忠勝の娘を家康の養女にしたうえで嫁にもらっていたからです。

 信之は徳川秀忠に従って関ケ原に進んだが途中、父と幸村の立てこもる上田城を攻めることになります。籠城戦になり、上田城はそのままにして、秀忠と関ヶ原に向かいました。

 徳川軍の勝利に終わり西軍に付いた父昌幸と幸村は断首であったが、兄信幸は自分の恩賞と引き換えに父と弟の助命を嘆願しました。

 父と弟は命を取り留

めましたが九度山に流

刑となりました。

 兄信之は上田城城主

となって、真田氏の名

は明治まで残りました。以上

異文化経営の困難

異文化経営の困難

 

一九九〇 年、当時バブルの真只中「日本は資源のない小さな島国。貿易立国日本を支えるため、海外で身を粉にして働きたい !」の一念で、海外に飛び出した。最初に赴任したのがタイで、五年間駐在。その後日本に二年弱戻った後、シンガポールに一年、マレーシアに八年駐在。転職し、日本で事業再生のコンサルを経た後、シンガポールの印刷工場に三年、タイのクレーンの会社に一年各責任者として駐在した。二〇年以上の海外ビジネス経験を生かして、現在、国際社会に羽ばたく学生を育てるべく、力を尽くしている。二〇年近い海外駐在経験から学んだ点で、今でも私の心に残る二つの教訓を皆さんとシェアしたい。

 

〈部下は間違いを犯すもの〉(特に異文化経営では)

間違いを犯させないようにするのが上司の役目。させてしまったら自分の落ち度である。最初の駐在のタイで、数か月経ち何となく状況が分かってきた頃、私が客先に行って帰ってくると、部下のワチャラが、総務に尋問されていた。私も社長に呼ばれた。社長曰く、ワチャラが、土日に、トラックで、ガードを二往復した形跡があり、要は工場から何か持ち出しているとのこと。「口を閉じて割らない。お前になら喋るだろう。吐かせろ」の命令であった。私は勉強したての拙いタイ語で、部下のワチャラと色々な話をして、「もしこのままでいったら、警察に突き出さなければならない、田舎の父さん、母さんも悲しむし、友達もいなくなる、俺も悲しい。」と話した瞬間。大粒の涙とともに、ワチャラは、ワーンと泣き出して、自白した。

その頃アルミの部品不良が発生し、アルミ廃材が倉庫の横に山になっていた。ゴミであるが、これが売れる。ワチャラが言うには、ゴミ業者に騙されて、それを持ち出して、金を見せられて、渡してしまったとのこと。その後、やっぱりいけないと思い、業者の所に戻って「お金を返すから返してくれ」と頼んだら、当然断られ、結局、今までこつこつ貯めた貯金を全てはたいて、何とか返してもらい、元に戻したとのこと。それでゲートを二回通過したのである。ワンワン泣くのを、「分かった、泣くな」となだめ、社長の所に行って事情を話し、「何とか穏便に」とお願いした。

社長は、嬉々として「佐脇、デカシタ、良くやった。すぐに首にしろ」。私は、目の前が真っ白になって、「ちょっと待って下さい。本人、ワンワン泣いて、正直に話しており、反省もしている。全貯金を引き換えに取り戻して、実害は無い。しかも、有能だ」。と食いついたところ、「馬鹿ヤロー、俺達は7人の日本人で、一〇〇〇人の工場を動かしている。しかも、二四時間稼動だ。夜中には、日本人も、マネージャーもいなくなる。そんななかで、鉄の掟がなくなったら、全員が物を持ち出す。すぐ倒産だ」と怒鳴られた。そして諭すように「一〇〇〇人が路頭に迷ってもいいのか?理由が何であれ、不正は許さん。例外は無い。お前から引導を渡せ。」との絶対命令。

自分にとっては、自分の部下を切る話であるから、とても辛い話だった。そして、今回一番悪かったのは、廃材を放置し、部下が持ち出せる状況を作った私である。私の怠慢で、首になってしまったワチャラに対し、今でも「申し訳ない」という気持ちで一杯である。

 

 

 

 

 

 

 

   工場の写真

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   機械の写真

 

 

 

〈決して隠さない経営〉(異文化経営でも然り)

シンガポール印刷工場の自力再生過程で、人身事故が起こった。ローラーに付いたごみを取ろうと機械を停止せずに手で触ったため、指が三本ローラーに巻き込まれてしまった。中国から出稼ぎに出てきたワーカーで、手が使い物にならなくなり首になると、ワンワン泣いていた。もちろん機械に触れるときは、絶対に機械を停止しなければならない。鉄則である。しかし、機械を止めれば何十メートルも紙が無駄になる。さらに、ゴミがそのまま機械の中に入っていっても何十メートルも紙が無駄になる。このワーカーは、無駄を出さないようにという仕事上の向上心から、大丈夫だと思って触ってしまった。その瞬間指が三本巻き込まれたのだ。佐脇の出張中にこの事件が起こり、慌てて帰って事情聴取し、詳細を聞いた。即、幹部を集めて意見を聞いたところ「隠したほうが良い。会社が厳しい状況の中で、公開したら暴動が起こるかもしれない」全員の共通した意見だった。「そんなことをしたら、また同じことを起こすぞ。悲劇を二度と起こさないよう皆に話し教訓にする」と私は宣言し、翌日百数十人全員を事件の起こった機械の前に集めた。責任者に状況を詳しく説明してもらったが、①どうして起こったのか詳細に、②どんなに悲惨かを強調して話してもらった。百数十人全員静まり返った。最後に、私から、「五体満足に生んでくれた親に対して本当に申し訳ない。会社が儲かっても全く意味がない。ルールを守って絶対二度とこのようなことを起こさないでほしい」皆に訴えた。心の底からの言葉だった。幸いそれから大きな事故は起こっていない。     以上

巻頭言

巻頭言      

 

 人生はドラマである。 

人間の人生はそれぞれ違う。

そのように考えるとこの世の中には、人間の数だけ素晴らしいドラマが展開しているはずなのである。

『えん』はその自分だけの大切なドラマを堀りおこして、読者の前に提示するのだ。

それは何をするよりも最も楽しい作業である。

知らないことを知る楽しみ、知らない友達を知る楽しみ。

色々なことを考える楽しみにじっくりと取り組めるのは、隠居生活に入ってから、定年すぎてからが本番ではないだろうか。

 

そう考えると定年すぎが本当の人生ではなかろうか。今、六十代の人は六十歳からだ。今七十代の人は七十歳からだ。

今八十代の人は八十歳からだ。

今九十代の人は九十歳からだ。

大いに情熱を燃やしてもよろしいのでないはなかろうか。

今の日本は、医学の進歩で高齢化が進んでいる。

楽しみの言葉遊びは年と共に膨らんでいく。

横笛物語

 

  横笛物語

  

 

むかし、平安時代の終わりの頃でありました。建礼門院ご在世の頃で平家全盛のころでありました。

 横笛という侍女がいました。彼女の容姿は美しく愛らしくて、霧に薫る花のように、風に乱れる柳のようにしなやかで中天に静まる月のような気高さをもっていました。

当時都に三条の斎藤滝口時頼という華やかな男性がいた。

 ある時彼はお使いで建礼門院の御所に参上した。土間の長廊下にたたずみ、お返事を待っていた。

 滝口は返事を持ってきた横笛を見て、他のどの姫君にもまさっていると、一度ですっかり恋焦がれてしまった。

 滝口はお使いを済ませたあと引き続いて恋の言葉を横笛にかけた。

 

ー秋の田を借り始める、

 

 わたしはとてもおいしいしそのかりそめという言葉に通ずる、つまらぬ武士の身の上だが、わたしはあなたと共寝をして、

 その枕を見たいと願っています。-

と、とそのお手紙を渡された横笛。

 

 横笛はぽっと紅く頬を染めて、滝口の手紙を受け取ってお取次ぎをした。

 

 滝口は御所に帰ってから、心はすっかり上の空。寝もせず、起きもできず、

 横笛を見初めたあの時の心と今の心と、どちらが夢とも判別できず。寝ても覚めてもただ横笛を心のうちに描きつづけているのでした。

 ある時、乳母が滝口の枕元にお付き添いになり、

「私なりとも、お心の内をすっかりお話しくださいませ、そのようにただ事でないお悩みを拝見しておりますと、私まで苦しくなってしまいます」

といいます。

滝口はつい心を許しておっしゃるには、

「何時ぞや、建礼門院様の御所にご参上したとき、横笛という女人が桜の花の薄着にくれないの袴をつけて出てこられた方ですね」

 横笛の美しさは、かの楊貴妃にも勝っている様に、滝口には思われた。

 乳母は滝口の説明を聞いて、

「彼女に伝えておきましょう。」

といった。

 乳母の話を聞いて、横笛は、

「あなた様を初めて見もうしあげてから。

 わたくしも耐え難く思っていましたが。お手紙の相手をお間違えになったのではありませんか。」

 

「うずみ火のように心中ひそかに私を焦がれておられると聞くにつれ、その恋の火があっけなく消えた後、顧りみられなくなるのではないかと悲しく思います。」

 とお書きになり、恥ずかし気にお渡しになった。

これを見て滝口の嬉しさはたとえようもないのであった。

 

 その後たびたび手紙が交わされて、逢う機会も多い中となったのであった。

小笹の中の一節というあわただしい伏せ寝であってもこっそり男が通う時もあり楽しい毎日であった。

 そうこうするうちに二人の仲を男の父親の知るところとなり。息子に立派な位の女との結婚を望んでいた父親は、すぐに女を実家に送り返してしまえと息子を諫めたのですが。息子は聞き入れません。

「そんな風に私の言うことをお聞きにならないのなら、お前を勘当してしまおう」

 と勘当を伝える使者をおつかわしになったのでした。

 滝口は親の命令に背くことも罪深いことだと思いましたが、愛する女の心を無にすることは痛ましいことと思いながら、名残惜しい気持ちを押さえながら、このことを少しでも知ったら彼女はどんなに悲しむだろうと思うのでした。

しかし滝口は流れ出る涙をじっとこらえながら、まだ夜深い千夜を一夜と感じ取ろうと滝口は、横笛をしっかり抱きしめるのでした。

 

 それが最後の滝口と横笛のおおせであった。

 

 男が遠のくと、その後の横笛は今日もむなしく男を待ち、明日もむなしく男を待ちかねて、日が暮れると門前に出ていき、老けていく門前で,更け行く月ととともに、すごすごと独り夜を過ごすという怨みも重なる毎日でした。

 寂しくて無残な毎日に耐えかねる横笛でした。

「それにしても滝口様は無情にも、どうしてわたくしをお見捨てなさるのでしょう」

「溝口様がこれほどつめたくて、わたくしはどのように生きていけるのでしょうか」

 横笛が今を最後と泣く声が聞こえます.

「どうか西方の如来様、満たされぬまま別れた滝口さまと同じ蓮の花の上にお迎えくださいますように」

 と、横笛は祈りながら、川底に投身自殺を遂げたのでした。

 それをみとめた川の対岸の人々は、大声で止めたのですが、対岸に声は届かず。ましてや手も届かず、騒ぎばかりが大きくなって、滝口のこもっている暗室までも聞こえてきました。

 

溝口も外に出て、

仲間とみんなで気の毒なことよなあと、他人事のように話し合ったことであった。

             おしまい

 

 

 

 

 

短歌

短歌 

 

続行こそバカと利口の分かれ道

我が夢高く秋空高く

     

現在を過去にこだわり台無しだ

過去捨て去りて未来に生きる

 

しわの数オオそれ見よだ年の数

生きてる限り増え続けるね

 

年取れば忘れることも平気なり

ドジも間抜けも笑い話に

 

四つ足で這い這いすれば転ばぬよ

立てなくなったら医者いらずだね

 

春一番帽子飛ばされ婆走る 

転ばぬようによたよた走る

 

黒土にミミズ腹出す草いきれ

風邪をひくなと草かけてやる

 

腰痛し痛くないのは口ばかし

勝手気ままに大口たたき

 

人生は死ぬが決まりの太平楽

生きてる限り風呂敷広げ

 

しみれんの雑草取り

人生は甘くはないぞ草いきれ

 

始めるに遅き事なし仲間あり

  我ら人生花開き継ぐ

『えん』ありがとう      放浪記  

『えん』ありがとう

 

   放浪記

 

 

 

 

    みつたけ 弘美

 

    さ わ き 喜久子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひろみ

 

秋です

人間世界を目指して

赤ちゃんが来ました

オギャアオギャアと

赤ちゃんが来ました

 

春が来ました

ツバメが大軍をなし

日本を目指して

飛んできました

春生まれたひろみ

 

秋生まれのひろみと春生まれた弘美

 

 秋生まれたひろみ

オギャアオギャアと

 泣き騒ぎました

春生まれた弘美が

すこやかに春をたたえました

ツバメ中から日本にやってきました

弘美と新とひろみが光武を守りました

草葉の陰で俊子も喜んでいるだろう

渡る世間に鬼はいず

渡る世間は福ばかり

 

 

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横浜から伊勢へ

横浜から伊勢にやってきた父を

夏子は心配して迎えに来たが大軍をなし

 

 

風は波の恋人

 

        風と波とは恋人同士

        切っても切れない恋人同士

        出会い頭にぶつかって

        当たって砕けよ

ビユービューと

        思い切りよく

        立ち騒ぎ

        しぶきを上げて舞い上がり

 

ポロポロポロ

         えみをこぼして

立ち去りぬ 

         風こそ波の恋人なり

         

 

 

 

 

若やいだ湖

奥山の

かくれた湖に

星が満面にきらめいた

顔を映して

喜びに満ち

美しく

星の数ほど若やいだ

我が幸せはいかばかりか

湖水から生まれいづる

 

孤独に悩む人

友が少なく

孤独に悩む

孤独なる人

その痛みを知らず

       友が多く

大勢に囲まれし人 

そのわずらわしさを知らず

 

 

小雨そよぐ

 

小雨の中で

大粒の涙を振り落とす

木の葉の憂愁

君はきづくや

木の葉の憂愁

 

お外に限る

 

緑は燃えに燃え

花は咲に咲き

五月の空は真っ青だ

家の中には誰もいない

楽しくのどかな

お外に限る

 

嵐の前の静けさ

 

何百という雀が

電線に飛んできた

正確に空間を開けて

止まっている

くっついている雀はいない

後から来た雀は

追い立てられて

最後尾につく

きちんと間隔をあけ

寒くないのかな

寂しくないのかな

明日の朝まで止まっているのかな

暗くなって外を見ると

お見事

一匹もいなくなっていた

夜も安全な雀の巣は

いったいどこにあるのだろう

明日は台風がやってくる

遠ざかりゆく

 

愛しき人は皆去りゆきて

一人なる苦しみに

おちいるは

自分だけにあらず

朝に泣き昼に泣き夜に泣く

自分にだけ付きまとう

この裏ざみしさ

 

歌びと語りべ

賑やかに

歌びと語りべ

和やかな

部屋から出るには

時間がかかる

スタバはやっぱり

憩いの場

 若き日

 

若き日の楽しみ

元気がみなぎり

忍びえる

幸あればこそ

忍びえる

やさしくあればこそ

情け深くあれ

    若き日は素晴らしい

 

そよぐ葉

  くすんだ真っ黒な葉

 濃紺の葉

 緑の葉

 そよそよとそよぐ

 薄い黄緑の葉

 何ともやさしく

 そよそよとそよぐ

やりたきことなら

 

不可能なことに

挑戦するのは難しい

しかし不可能に挑戦できるのは

人間だけだ

やりたいことなら

不可能なことにも挑戦すべきだ

 

それがいつまでも

 人間でいることなのだ

 

  幸せな友

 

旦那様の作った朝食を

食べる彼女は幸せ者

病気など治らないのが幸せね

一緒にいるのが幸せね

 

カラス誰の子カラスの子 

 

濡れそぼれたカラスが

歩道の側溝を

歩いていた  

頭からびしょぬれで

お気の毒にも

 

傘がない

今日のところはしのばにゃならぬ

時々ブルンと頭振り

しょんぼり

独りぼっちで歩いていた

 

 

 

 

 

野の花の運命 

春も盛りになりました

夢見心地で花を摘む

赤、白、紫、と

沢山花を摘みました

けれど なむさん

誰にもあげるあてもなく

せめて川べりに流して

 さようなら

旅は憧れ

いつでも、

どこへでも行ける旅が

歩けなくなって

旅が憧れになってしまった

車での旅しか行けなくなってしまった

それでも旅にあこがれる

人間のいつまでも続く果てしなき欲望か

 友よ君の心は

 

風よ

大空よ

太陽よ

もしもお前たちに

心があるならば

どんなに私は楽しめよう

 

草よ

花よ

木々たちよ

もしもお前たちに

心があるならば

どんなに私ははしゃげよう

 

友よ君の心が

間違いなしに

一番だけど

人間よ

 

耳あるものは聞くべし

口あるものは話すべし

頭あるものは考えるべし

手のあるものは使うべし

足あるものは歩くべし

 

みんな揃っている者は

忙しいが

幸せ者だ

 

 年かさね

 

あれも欲しいこれも欲しい

欲張り貪欲なくなって

あれも上げるこれも上げる

になっちゃって

喜びだけになっちゃった

 年かさね

 

社会から自由に解き放たれ

人から自由ももらい受け

自由時間はいっぱいだ

 

心の自由はどうなった

自分で自分を縛っている

プライド 意地っ張りは

どうなった

プライド意地悪捨て去って

心もコロコロ自由になった

 

 

 

 

 

老窓狂歌(一)全作品

老窓狂歌(一)全作品

書くことは生き残るロマンなり

   へたでもともとバカ言っても良し

 

友達はいくつになっても心に染む

   老窓の友ありがたかりし

 

アハハハハ周りが笑えばアハハハハ

   幸せそうに笑えば楽し

 

亡き人を偲ぶ心は砂上の恋

   胸の内にてそっと抱きしめ

 

人は皆過去も未来も手が出せぬ

わが出来ること今の今なり

 

生きながら好きなことして極楽トンボ

   死してあの世も極楽トンボ

 

晴れも良し雨も雪でもみんな良し

 巡り巡りて変化が又良し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これだけの友に恵まれ筆を採る

   草に囲まれ勇気百倍

 

長く生き楽しみ文書き絵を描き

   遊ばにゃ損々散りぬるお墓

 

わが人生大らかに生き何事も

   すぐに終わるも悔いることなし

 

腹を抱えてはひふへほ

   喧嘩けだらけ猫はいだらけ

            

(二)

若者のスマホに熱する無気力は

日本社会にまん延しており

 

我が心天知る地知る我が知る

   唯我独尊晴れやかなりし

 

人間は自分の力で下支え

   胸の奥では天に感謝す

 

人間は老いる気心道すがら

   遊びが無くなりかたくなになる

 

老いたるは働かざりて食うべからず

   食を減らせば医者知らずなり

 

そっくりさん親が親なら子も子だよ

   ガンコ親父にガンコな息子

 

君と僕共に白髪の生えるまで

結構毛だらけ猫灰だらけ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運が良い歩かなければ運はない

   動かなければ運に出会わず

 

時世がら女が目立つ世の中は

   女の地位の低き証拠よ

 

くしゃみして噂の主をやさがしす

はやり病の風邪のウイルス

 

文章は上手に書くな楽しく書け

   下手でもともと笑えば楽し

(三)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衣食住常識などは吹き飛ばせ

書くことにだけ埋没したし

 

春風に心も豊か身も豊か

五九郎さんもご苦労さんよ

 

人間に喧嘩はつきもの威勢よく

   喧嘩毛だらけ猫灰だらけ

 

名月や手に手をつなぐ秘めごとは

   老いた二人にゃお邪魔虫かな

年取れば騙されるのも芸のうち

知ったかぶりは恥ずかしきこと

 

自他ともに大切なのは心なり

   外なる胸をそっと抱きしめ

 

君知るや人の心の裏おもて

   老いてから知る心の軽さ

 

人間も古びてくると暗くなる

   赤い服着て目をごまかそう

            

何事も好きこそものの上手なれ

やれやれドンドン楽しみ伸ばせ

 

生涯を友に恵まれ生き生きと

筆に任せて楽しみひたる

 

種々雑多人の顔色うかがいて

詮索するははしたなくあり

               

(四)

ツクシ咲きレンゲも咲いたスミレ咲く

   遠くを見るな足元を見よ

 

ハハハハハ君が笑えばアハハハハ

   連鎖反応私もおかし

 

忙しいやらないことの言い訳だ

   これほど楽な言い訳は無し

 

年取ればバカすることもケセラセラ

   どうせ墓場に持ちこみしよう

 

生も死も解放させて生き抜けば

   いつもにこにこただものじゃなし

 

できもせぬ目標目指す頑張りは

   友を動かす口ほどもなし

 

いつの世も正義を守り生き抜くは

   強者の立場で生きることなり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我思う好きなことには突進する

   そのたまゆらは楽しきものよ

 

これはこうあれはあれだと爽やかに

   言い丸めては煙にまく友

 

親に先立ち死なぬのが

   親孝行の一等賞だよ

 

いつ死ぬも惜しくはないよ我が命

   地震雷いつでもござれ    

(五)

人生におかずを付けるとおいしいね

   あれもこれもと欲張り人生

 

ダメ女一緒になったダメ男

   だめはダメなり相乗効果

 

好き嫌い趣味の問題だれかれと

   決め手は全てのど越しの味

 

七十八ここまで来たか盛大に

   いくつになっても人生これから

 

忙しくコセコセするのは止めようよ

   ゆっくり空見て明日にお預け

 

友ありき手取り足取り教えられ

   いつも一緒に歩んでいこう

 

仲間いて夢あればこそ人の世は

   生きるかいあり明日につづく

咲く花もいつか終わりがやってくる

   その時までは張り切りガール

 

寂しさを何で埋めるか決めかねて

あれもこれもと習い事する

 

蠟梅が吹雪の中で咲き誇る

   小まいツボミに雪撫でかかり

 

 

田んぼに立つあの子誰の子案山子の子

   気分転換やる気が起きる

 

書くことは好きに書ければ何でも良し

   書くこと無ければヘノヘノモへジ

 

生まれつき何十年もお付き合い

   慣れ親しんだ不細工な顔

 

来し方は悲しみ多く長かった

   今楽しみの中に埋もれり

                  つづく

老窓狂歌〈2〉 66号

   佐脇喜久子

 

時来たりこころの中を駆け抜ける

男のロマン女の美学

 

 

生きている実感のある生活を

なまけの奴隷になりたくはなし

 

 

地球上円は自在に動き回る

   人の尊厳そこに見つける

   

 

 

 

 

 

 

 

心配なし60キロの体重も

   月に行けばたったの10キロ

 

 

人間は年取るだけでは可哀想

   あっちこっちで寂しさごっこ

 

 

男の恋時節が来れば女は愛

   花咲き乱れ花散りしぼむ

 

 

追いかけて有象無象をまき散らす

花は散りしも木々は残りて

 

 

寂しさを紛らすものには酒タバコ

   もっと素敵に埋めたいものだ

 

 

 

 

年取ればチャランポランに楽しもう

   しかつめらしい顔ともおさらば

 

 

一日はいっぱいあっても捨てがたし

   今日一日が宝物だよ

 

 

人間は頭でっかちな支持者より

   心でっかちな支持者がいいな

 

 

楽しいなできてる人は楽しいな

   夢中になってこの世を生きる

 

 

魅力とはやる気があって決まること

   ナイナイづくしじゃ魅力ナイナイ

 

 

 

繰り返しめぐりめぐりて喜怒哀楽

   喜怒哀楽で生きがい生まれ

 

 

友ありて明るい人は行動的

   友を選ばば書を読みて……

 

 

脳の中胃袋の中も同じこと

   自分で食べることしかないよ

 

 

幸せは自分のために生きること

   やりたいことをやりつくすこと

 

 

譲るべし重要なことは控えめに

   若者の芽を摘むな老人

 

 

晴れて良し雲に隠れた富士山も

   厳然とあり日本を守る

 

 

日本史は日本を守りし侍が

   宝庫のように記録されおり

 

 

好きで生まれたわけでなし

   それでも好きで生きてゆきたし

 

 

我々は知らないうちに生まれしも

   こころ輝き生きていきたし

 

 

年取れど健康一番一、二、三、

   あとは野となれ山となれ

 

 

君と僕足りないことを補いて

明日も明るく生き抜くために

 

 

ひと一人生きていくのは難しい

   何がなくても生きる勇気だ

 

 

雲走る野越え山越え海越えて

   嵐も去った世はことも無し

 

 

親友はいくつになってもいいものさ

   人生一緒に学んできたんだ

 

 

人並みに生きてこれたもすべてみな

   友の助けがあればこそだよ

 

 

友達とは人と人との結びつき

   誠実な友私の宝

 

 

世の中を惰性で生きることなんて

   いくら年でも生きる価値なし

 

 

いつまでも人生勝負張り切って

生きていきたし生きていきたし

 

 

若さには不平不満がつきまとう

   それが若さの原動力さ

 

 

いつの世も望まれることただ一つ

   破壊ではなく建設にある

 

 

人生は驚き桃の木山椒の木

長生きなんて成り行き次第

 

 

心こそ心迷わす心なれ

   心に心 心許すな

     

 

不健康性格ゆがむ元なりき

   健康は善希望のもとい

 

 

生きること忘れてその日楽しめば

   いつか死ぬこと忘れて生きる

 

 

都会捨て父母を看取った我が家から

   どんな家にも去りたくは無し

 

 

 

何事も自分と人を比べるな

   比べることから苦しみ始まる

 

 

生と死を並べて比べ見てみれば

   自然の道理何のことなし

 

 

雨の日は雨あめ降れふれ友だちと

   雨傘さして二人で歩く

 

 

人は皆天に貸し借り無くなれば

   空を羽ばたくツグミに同じ

 

 

ワイワイと喧嘩友達最高だ

   気配り無しの裸友達

 

 

 

人はひと人それぞれに生きている

   文句言わずに粋に生きよう

 

 

人の世は思うようにはならぬもの

   はだしに靴履き威張って歩こう

 

 

バカ頭たたく門には福来る

   道も開けて運も開ける

 

 

しくしくと涙流して泣く頬に

   真っ赤な頬に線路ができる

 

 

やせ我慢泣いた後には福来たる

   青空高く晴れ渡りたり

老窓狂歌〈3〉67号 

   佐脇喜久子

努力だよただそれだけが人生だ

   掛け声だけで元気でてくる

 

人生も先がわかれば面白なし

   予想不可能未来は楽し

 

天高く心の中まで秋の空

   天も空(から)っぽ心も空(から)っぽ

 

忘れんぼボケたのでなくフケたのだ

   少し遅れて後で見つかる

 

 

 

 

 

 

 

 

人生は自然にお任せそうすれば

   未知の世界に酔いしれるなり

 

 

親と子は何があっても切れはせぬ

   ただ生むだけはミミズの世界

 

 

友よりもおいしい柿の実やさがしし

   枯れ木で泣きし腹ペコのモズ

 

 

父母に産んでもらって生き延びた

   感謝感謝の楽しき人生

 

 

若き恋好きだといえば嫌いと言い

   恋はいつでも天の邪鬼だよ

 

 

 

死を前に死にたくなしと神頼み

   うろたえ騒ぐ人の見苦し

                 

 

まごころには真心持ちて伝えたし

花に群がる蝶の口づけ

 

 

すわ喧嘩しゃっきり立ちて気合入れ

   相手は誰かかかってこいや

 

ゼロは良いどんなに足しても増えもせず

   損得なしのかけひきなしだ

 

 

雨降れば後は晴れなり気持ち良し

   やきもきせずとも天下泰平

 

 

 

人生は孤独な闘い

生きることにも意欲無くなり

 

 

文学はこころを発散する薬

   あっち向いてホイこっち向いてホイ

 

 

苦しみは神が与えた試練だよ

   ふところ深く秋の風吹く

 

 

年取れば結構毛だらけゴミの中

   あっちこっちで寂しさごっこ

 

 

ひとり寝は湯たんぽ抱くと温かし

蹴飛ばされること心配ないよ

 

 

 

どうしても悲しき時は海を見よ

   眺めていると力沸きいで

 

 

友達を選ぶ価値無し風来坊

   自分の心に価値見いだせず

   

 

友達になれるなれない君しだい

君が好きならすべて友だち

 

 

今時は塾さえあれば子は育つ

   学校無くても教育はでき

 

 

交際は人と人との出会いから

   好きと嫌いは心の折り合い

 

 

 

まっしぐら狙った獲物は外さない

   努力は人を成長させる

 

 

泣きじょうご笑いじょうごは一字違い

   たったの一字は天地の違い

 

 

ポカポカと殴られる人殴る人

   先手必勝痛さは同じ

 

 

忘れんぼ老人ボケは世の習い

   それも愛嬌許す心を

 

 

生まれきたもとは赤んぼ同じもの

   雨つゆ受けてすくすく育つ

 

 

 

絶対と思う心が相対に

   人の心を揺り動かさん

 

 

手が早く相対的に足遅し

   老いの知恵には関わらぬこと

 

 

人間の嘘と誠は紙一重

   気にしだしたら生きてはいけず

 

 

すべからく自業自得が人生さ

   悟ってしまえば文句が言えぬ

 

 

生き死にのすべては天の預かりもの

   せめて老後は人に頼らず

  

 

 

美しい群青色の青空は

   二度と見られぬ今だけの宝

 

 

世の中のお役にたちて死にたいな

   夕焼け小焼けに願かけすれど

 

 

君と僕がっちり助けて夢を見る

   互いに腕組む心意気かな

 

 

稲刈りも機械が入り無駄がなく

   落穂ひろいも雀の群れなし

 

 

二つ三つ心弾ませ遊ぼうよ

   友の心に耳傾けつ

 

 

 

人生は良く生きるのみお見事よ

   花は散るまで美しく咲き

 

 

不美人で頭も悪く怠け者

   努力しないでかっこつけマンだ

 

 

春待てどただ生きるのみ意味は無し

   梅は咲いたかさくらはまだか

 

 

人は皆何がなくても衣食住

   衣食足りて腹は満腹

 

 

人は皆微笑み見ると元気出る

   連鎖反応信じていいよ

 

 

 

空高く雲一つ無き青空を

   トンビが一羽悠々と泳ぐ

 

 

一日を為すこともなくて生きるより

   凝縮の日をきらめきて死す

 

 

仕事してシャキッとすれば元気出る

   これぞ神のおはからいなりし

 

 

縁側で小春日和の日向ぼこ

   為すこともなく為すこともあり

 

 

人間の考えなんて通り一遍

   悩みもすぐに西から東へ

 

 

 

老窓狂歌〈4〉68号 

   佐脇喜久子

一日中のらりくらりと日を過ごす

   月見草咲く野辺の傍ら

 

からからと落ち葉舞い来る石畳

   冬の足音見る心地して

 

ユーモアを解する国は楽しいな

   身びいきだけど日本が一番

 

から風に呼ばれ飛ばされ鬼は外

   以心伝心君が心に

 

 

 

 

 

 

 

今日も又生まれしことに感謝する

   過ぎ行く日々に哀惜の念

 

鳥と鳥出合い頭に喧嘩して

   カケスとトキと身元バレバレ

 

生まれつき顔の不細工親のせい

   根性無しは我の責任

 

君と僕離れていれば喧嘩せず

   君遠からず我近寄らず

 

赤とんぼ群れて飛んでもいい加減

   標識なくてもぶつかりもせず

 

真心に真心持って伝えたし

   花に群がる蝶の口づけ

 

年寄りは可哀想だと思うけど

   生きがいあれば生きる価値あり

人間は陰ひなたなし立派だよ

   太陽照らぬ暗闇も良し

 

年取りて勉強するはばかばかし

   どうせ死ぬ身だ食事忘れて

 

雨だれがチヤポンチャポンと音を立て

   蛙ゲロゲロ賑わいにけり

 

有難う私のために咲き出した

   タンポポすみれナバナにレンゲ

 

あれが好きこれが嫌いと駄々こねる

   極楽トンボ元気に生きる

 

思ったことやる楽しさに舞いくれて

   くるくる舞の忙しさに酔う

 

親と子とそれぞれ思いはすれ違う

   老いと若きとそれぞれにあり

                

寂しさを何で埋めるかみな違う

   何でもありが人の世の常

 

猿は良し見猿聞か猿すべてサル

   喧嘩もサルが悲しさもサル

 

ヤジロベイ中心保つ必要なし

   傾く楽しさ生きる楽しさ

 

悶着を起こして寒き夕暮れに

   涙腺湿る月待ち顔や

 

秋日より青く黄色く赤くなり

   風に揺られてひらひらと散る

   

花も良し心豊かに書を読めば

  わが贅沢は読書に尽きる

 

君知るや生まれてなんて来なければ

  死ぬことなどで悩まざりけり

 

 

いい世だな誰もこの世にいなかった

  皆楽しもう初めての世界

 

われ生きる友を選ばば書を読みて

   お蔵入りした故人を引き出す

 

胃袋も頭の中も満杯に

   中身満杯入れなきゃそんそん

 

胃袋も頭の中も満杯に

自分で入れなきゃ満足できぬ

 

子を愛し親を愛しているつもり

   つもりで生きる人の交わり

 

決まりだよ年を取ればボケが咲く

   ボケも花だよ楽しく遊ぶ

 

心からあくせくイライラ追い払い

   空っぽになって軽々生きる

あれこれと生きるついでに手を染めて

   やってみるのも死に土産だよ

 

青草も鹿が食べれば鹿になり

   人が食べれば人になるかな

 

生まれ来て同じに学んだ同窓生

   みんなそれぞれ別々に生き

 

学校でも人は作れず学問も

   他人(ひと)は作れず自分が作る

 

努力とはただ言うだけじゃ容易(たやす)いな

   やって苦しみ終わって味わう

 

ダサイ顔気にして生きる怠け者

   落ち込むほどに落ちぶれもせず

 

一緒だよ一緒に死ぬならそれで良し

   あっちを向いたりこっちを向いたり

年寄りは老い先短働かず

   働かざる者食うべからずよ

 

ゼロは良い あってもなくても良い数字

   足しても増えず引いて減らない

 

水仙の香り豊かに風に舞い

   心に通い顔に現れ

 

わが顔は親からもらった宝物

   父母がいなけりゃ我は生まれず

 

不細工な顔こそ親の置き土産

   人に生まれし記念品だよ

 

人の糧(かて) 趣味睡眠はこころよし

   過ぎればすべて良き影響よ

 

人の世は頭顔口掛け合わせ

   長く生きるが勝ち組の人

 

人は皆良くて七癖持ち歩く

   重くもあるか唇重し

 

人生は思わぬ速さで去っていく

   たわいなきかなわが最終便

 

我が生涯しょって歩くにいと軽き

   軽きに泣きて三歩歩めず

 

人間のバカと天才紙一重

   やる気があるかやる気がないか

 

人の世は思うようにはならないよ

   悟ってしまえば全部意のまま

 

笑っても連鎖反応怒っても

   連鎖反応友との絆

 

わが友は素直な心謝りて

   権威なくして友愛運ぶ

 

開けゴマ心弾ませ遊ぼうよ

   友の心に遠来の客

 

差別なし人それぞれだ生き抜こう

馬鹿でブスでも何でも良ろし

 

あれも出来これも出来ると感謝する

   人に生まれてありがたきかな

 

人は皆あっちもこっちも好きになる

   好きこそ上手一筋の道

 

好きは好き好きに意味なし

   石ころも路傍の石に風情を感じ

 

好きは好き咲いてる花は美しい

なぜ美しき意味などなきぞ

 

咲き誇る咲いてるだけで十分だ

   生きる価値あり嬉しき瞬間

生きる価値気づいたときは

大体終わり

 

太陽が草木育てはぐくむも

   人の心は人が育てる

 

何事も中心からは外れるな

   傾かぬが良し中心が良し

 

人は皆やるしかないよ何事も

   やること無きは人でなくなる

 

生きようよ一生懸命生きようよ

   自分で花を飾って行こうよ

 

出逢い良し男と女いつまでも

   年の差なんて関係ないよ

 

年取ってやることなければカビ生える

   シワができるは生きた勲章

              つづく

老窓狂歌〈4〉

   佐脇喜久子

二人だけ君と僕との思いやり

   好きなればこそ心にしみる

 

人は皆老いたれども子供の延長

   遠い昔が見え隠れする

 

來し方で君の素顔は引き締まり

   努力のすべては顔に現れ

 

アイタタタ転んだついでに傷をする

   学んだついでに喜び伝う

 

 

 

 

 

 

 

 

いつまでもてんてこ舞いで突き進む

   その息吹きを尊しとする

 

 

さよならは金も要らなきゃ名もいらぬ

   裸の自分それがすべてよ

 

 

ありがとう何でもできる人は無し

   出来ないことは人に頼ろう

 

 

穏やかで陽気ご機嫌それだけで

   しあわせ船にすべてを乗せる

 

 

言葉では心の糧はいらないよ

   心を使って友達作り

 

 

赤ちゃんは泣くが常識父母(ちちはは)は

   先に死ぬのが通り相場さ

          

 

人間は唯我独尊一人称

   最後の旅は一人旅だよ

 

 

愛と欲満たされなければそれで良し

   自然流なり調和の世界

 

 

日が昇り時が来れば花は咲く

   人はがんばれ喜びが咲く

 

 

春風は穏やかご機嫌それだけで

   しあわせ船にすべてを乗せる

   

 

夫婦とは裏も表もお手のもの

   何でも分れば面白くもなし

 

 

わが友は一癖もある苦労人

   何でも聞けばなんでもわかる

 

 

楽隠居小田原提灯ぶら下げて

   やっとこどっこいお気に召すまま

 

 

生まれきて苦しまずして喜び無し

   苦しみなきは生きるかい無し

 

 

君と僕高級ホテル素通りさ

   ひがみ根性丸出しにして

 

 

 

さようならわびしき言葉通り抜け

   一人暮らしに響く言の葉

 

 

忙しく働くことの尊さを

   忘れ来りて長くはなりぬ

 

 

人生は忙しくとも退屈だ

   長くもあるか忙中の閑

 

 

外づら良く内面悪くも関係なし

一人暮らしじゃ関係ないない

 

 

つまらない関係なんて終わりだよ

   終わる世界に幸せもなし

 

 

 

満月や家並みくっきり際立ちて

   ふと立ち止まる野辺の夕暮れ

 

 

永遠は始めもなくて終わり無し

   全生命の流れにすぎず

 

 

生と死が向き合う如く命張り

   スケート競技の点の取り合い

 

 

桜咲きやがて散りぬることわりは

   生まれることは生きて死ぬこと

 

 

人生は喜怒哀楽の繰り返し

   繰り返しつつそよ風の吹く

 

 

 

思うこと考えること一体なり

   人から生まれ土に入りなん

 

 

人として大切なこと何(なに)ならん

   心で思い頭で考え

 

 

人間は泣くも笑うも一仕事

   好きに学べよわが生涯だ

 

 

人は皆生まれなければ死ぬこと無し

   生まれてよかった死も安らかに

 

 

太り気味人は見かけに弱きもの

   年甲斐もなく一食抜かす

 

 

冗談で済まされないのが人生よ

   生まれたからは生きてゆかねば

 

 

還暦だ老いても人を好きになる

   いくつになっても人生は洒落

 

 

年取りて人に惚れてもいい感じ

   いくつになってもキスはときめく

 

 

出会いだよ同じ趣味持つ友達は

   年の差なんて関係ないよ

 

 

人間が生きてることは素晴らしい

   いくつになっても人はこれから

 

 

 

年取って体にカビが生えちゃった

   ボケの花見てゴシゴシみがく

 

 

赤ちゃんは純真無垢な顔してる

   私も再度やりなおしたし

 

 

あの人も笑って語ったこの人も

   みんなあの世で待っている

 

 

桜見て饅頭食べて語り合い

   自然に生きるが一番いいさ

 

 

年取ればあくせくしないでゆったりと

   残りの人生笑ってすごそ

 

頭にもやれつめこめや心にも

   詰め込みすぎは欲張り人生

 

 

責任なし好きで年寄るわけでなし

   ボケたボケたと悲観をするな

 

 

いつまでも生きてるつもりはないけれど

   書ける間は生きていたいな

               

 

 

春風邪やカエルゲロゲロ熱を出し

   ハスの上にて日向(ひなた)ぼこする

 

だれだって最初はこの世にいなかった

   死んでもともと手術を受ける

つづく

老窓狂歌〈6〉70号 

              佐脇喜久子

 

長い道あっという間の80年

   身の飢(う)え話ああ淋しやな

 

大自然留まるところ無き流れ

   生まれては死に死にては生まれ

 

適当にチャランポランに生きようよ

   きっと明日がやってくるから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エイヤーと無い知恵絞って張り切ると

   頑張りすぎてもめ事になる

 

 

ハーハハハ笑って過ごせば気ぜわしく

   一日早し駆け足で過ぎ

 

 

何処見てもすぐれ者だよあんたはね

   才はなくとも生き方はよし

 

 

こうだよと覚えたこともケセラセラ

   きれいさっぱり忘れ去るも良し

 

 

我こそは愚鈍で間抜けでくの坊

   人に生まれてそれだけ感謝

 

 

死に損ない万策尽きてふて寝する

   為すべきことを探す旅路へ

 

 

年かさね忘れることも平気なり

   年の数だけ忘れても良し

 

 

皺の数オオソレミヨだ年の数

   数多ければ見栄え良きなり

 

 

人生は死ぬが決まりの太平楽

   生きてる限り風呂敷広げ

 

 

四足で這い這いすれば転ばない

   立てなくなれば医者いらずかな

 

 

 

朝顔や自分で咲いて自分で散る

   風に吹かれるその爽やかさ

 

 

朝顔の葉の露落ちて花の散る

   残るといえど明日には散らん

 

 

それ見たか君の生き方いい加減

   遊びに飽きて陽の沈みゆく

 

 

人生は流れる雲だ大空を

自由自在に大らかなりき

 

 

今日も又笑いのネタがあれば良し

   笑いを持ちて友の来たれる

 

 

 

悲しくも笑ってしまえばおかしいな

   先手必勝笑うが勝ちよ

 

 

めくらめく季節は変わる自然界

   花見水泳雪景色なり

 

 

夢に見る滝に打たれて山籠もり

   家族そろって山菜取りかな

 

 

心とは長い年月へだて来て

   人の心は作られるもの

 

 

年取れば頑固なだけが身に残り

   幼児のごとき素直さ消える

 

 

 

見てる間に蝉ガラ脱いで空を飛ぶ

   少年老いて学成り難し

 

 

学問も仕事もすべて事なかれ

   他にやること何もなくなり

 

 

まっすぐに心も体も姿勢良く

   生きていきたく願う生涯

 

 

いつまでも心の姿勢気に留どめ

   生きていきたく歩み続ける

 

 

人生に疲れて身投げしてみても

   あの世も同じ生きがたきかな

 

 

 

人生は花も実もある生き方を  

   競って送れば元気百倍

 

 

あこがれて花よ蝶よとおだてられ

   老いては死して学成り難し

 

 

将来はかくなりたしと思いつつ

   老いれば死して夢なり難し

 

 

老いたれど背筋伸ばして心の姿勢

   しゃんとまっすぐ歩みを止めず

 

 

一つでもやればできるの信念で

   毎日やれば大きな飛躍

 

 

 

花は花そのつながりは大切だ

   血のつながりより心のつながり

            

 

人生のおかずはなあに趣味だけだ

   あれもこれもと楽しみだらけ

 

 

世の中の小さな執着すべて捨て

   大観すれば大らかに生き

 

 

失くし物こそこそ探すはみっともなし

きれいさっぱり大掃除する

 

 

心中を明るく照らせ迷いなく

暗き人生きっぱり捨て去り

 

 

 

今時の子供が親を見るなんて

   雀が鷲を産むより難し

 

 

梅のはな花は散っても木は残る

   生きてればこそ出合い再び

 

 

一年経ちまた遇う花の咲き揃う

   梅は咲いたか桜はまだか

 

 

適当に好きこそものの上手なれ

   楽しくやるが長生きのコツ

 

 

そういえば去年も咲いたこの桜

   桜ワクワク今年も待たれる

 

 

 

木蓮を命の限り道ずれに

   今年も咲いた思いも咲いた

 

 

友達は嘘も誠もお見通し

   ほんとの友は一心同体

   

 

陽がさせば気分爽快ほころびて

   花に問いかけ草とたわむる

 

 

夕焼けにトンボすいすい酔い乱れ

   車窓をかすり乱舞するなり

 

 

花咲けば気分良好豊かなり

うとうとうたた寝猫もうたた寝

 

                 つづく

老窓狂歌〈7〉71号 

              佐脇喜久子

 

気まぐれに車飛ばして一人旅

   食事処を探しそこねて

 

人間は寂しがりやでおたんこなす

   あっちこっちで寂しさごっこ

 

やさしさも身の処し方も厳しさも

   心の香り顔にあらわれ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

年寄りは早くくたばれ気持ちはわかる

   生きる権利は誰にもあるよ

 

 

古希過ぎた死にそこないがはびこった

若者元気に頑張りどころ

 

 

約束のできない歳になりにけり

   それでもこりず楽しく約束

 

 

今日もまた守れぬ約束ぶら下げて

   友の顔色伺いており

 

 

この年で約束するなうつけ者

   君にあしたが見えると思うか

 

 

 

この年で明日があると思うこと

   縁あればこその贅沢人生

 

 

ヒマが出来あれもこれもと習いだし

   器用貧乏それも一案

 

 

押しの一手友達なんかすぐできる

   当たって砕けろ回路の日より

 

 

天空の星の数ほど人はいる

   当たって砕けよ友達作り

 

 

指折って自分の中身探したら

   良いとこもあり悪いとこもある

 

 

 

食いしんぼわかっちゃいるけど止められない

   立派なおデブになりにけるかな

 

 

過ぎたるは及ばざること何ごとも

   ほどほどが良し適当が良し

 

 

ことわざに文は人なり人は文

   書くこと趣味は老いの青春

 

 

子供らに勉強しろは逆効果

   親の心はだまって伝わる

 

 

本人がやる気になれば人間は

   やれないことなど無きに等しい

 

 

 

緑風に空飛ぶ鳥は素直なり

   素直になれば心爽やか

 

 

真剣に取り組む姿勢好まれる

   人の魅力はそれがすべてだ

 

 

良しやろういくつになってもこれだけだ

   夕立の中すずめ飛び去る

 

 

雨降って時節到来地固まる

   いくつになっても心意気に惚れ

 

 

大真面目養生訓を心得よ

   趣味睡眠は過ぎれば短命

 

 

 

人生をいかに過ごせし生きざまは

   顔で判断するが判断

 

 

その香り風に散らせし路傍の花

咲きたいだけは咲き誇りけり

 

 

川はただ流れるだけで海になる

   海になれれば世界を巡る

 

 

花はただ自分のために咲く命

   見ているだけで心が和む

 

 

父母(ちちはは)は教師になれずわが子には

   子供が学ぶ父母(ふぼ)なりき

 

 

 

春来たる悩める親に悩める子

   桜を見つめて一喜一憂し

 

 

チユンチュンと良い子悪い子いなくなり

   収穫機械が雀追い出し

 

 

咲くも良し桜の花は散るもよし

   春は過ぎ去り夏来たるらし

 

 

空を見てため息ついて最後まで

   励んでみたし人生勉強

 

 

眠られぬ秋の夜長に手に取りし

   良書に出合い胸のときめく

 

 

 

バカやると心に余裕沸いてくる

   幅が広がり笑い広まる

 

 

長生きはしたくてできるわけでなし

   人生なんて成り行き次第

 

 

赤とんぼ群れて飛んでもいい加減

   すいすいすいと楽しみて飛ぶ

 

 

好き嫌い友達わけてお付き合い

   心贅沢そりゃ嫌われる

 

 

赤ツバキ雪で変身白ツバキ

   串刺し餅だうまそうだなあ

 

 

 

ロウバイ小雪注ぎて雪化粧

   春待ち鳥にあいそふりまく

 

   

バカやると心に余裕沸いてくる

   顔顔顔に連鎖反応

 

 

海上で櫓のないボートの頼りなさ

精神葛藤亡き人偲ぶ

 

 

心がけ素直になれば簡単だ

   心は育ち心いくまま

 

 

年取れば心の姿勢大切に

   最後の姿勢愛し眺めし

 

 

 

人生は流れる雲に乗るごとし

    幸と不幸が乱れ飛ぶなり

 

 

冬過ぎて天下泰平春来る

   花咲くもよし鳥なくも良し

 

 

昔より頭たたいて延々と

   文の中にて遊び惚けん

 

 

何ごとも小を気にせず吹き流し

   好きに動いて満腹に生き

 

 

悩めることは考えること

   精神葛藤元気百倍

 

            つづく

 

 

              佐脇喜久子

 

 

 

人はならば約束するないい加減

   天気予報も当たらぬ道理

 

誤解です昔の武士に恋するなんて

   歴史の好きな読者の特権

 

運動と趣味に集中奥様方

   今こそないと張り切りガール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごとも小を気にせず吹き流し

   好きに動きて満腹に生き

 

 

わびしさも悲しきこともいろいろと

   吹けば飛ぶよな我が人生よ

 

 

父母(ちちはは)がオオソレミヨと産み育て

   愛を注ぎて立ち去りし跡

 

 

わたしなど吹けば飛ぶよな人生さ

   それでも重く限りなく遠し

 

 

貧乏で登校拒否でいじめられ

   それでも夢は広がるものだ

 

 

ドンといけ好きなことには突進だ

   正直者に裏表なし

 

 

生きるには一生懸命考える

   心を持たぬ花とは違う

 

 

生きながらどんどん塊り自閉症

   一人暮らしは笑って過ごせ

 

 

考えれば考えるほど暗くなる

   窓開け放ち青空を見よ

 

 

年取れば自分を楽しめそれ以外

   楽しむことは何もなくなる

 

 

 

一生は夢幻に過ぎ去りし

   これから先は余分の人生

 

 

つばめ飛ぶ世の盛衰にとらわれず

   大空高く楽しめば良し

 

 

悪人は自分が悪いと謝るが

   善人なれば謝りもせず

 

 

人は皆愛することを考えよ

   愛されるなど人ごとの愛

 

 

さわやかに今が一番いい時さ

   あっという間の仕事人生

 

 

 

知も富もすべて貧しき者の武器

   学べば良し働けば良し

 

 

生きながら書きたきことを腹一杯

   書き進めたしトテチテタとて

 

 

好きなことどんどんやれる今こそが

   史学と共に今が一番

 

 

あの世とはどんなところか見てみたし

   一度行ったらもう帰れない

 

 

愛と愛越すに越されぬ人と人

   箱根八里は馬でも越すよ

 

 

 

遠い道人と人との別れ道

   そよ風吹いて桜が散るよ

 

 

トコトコと歩き続けて立ち止まり

   ちょっと疲れて空を見上げる

 

 

年だけは取りたくないが老い楽に

   流れるように今日も過行く

 

 

徒競走頑張りぬいても負けは負け

   友に負けても自分に勝とう

 

 

地球上円は自在に動き回る

   人の尊厳そこに見つける

 

 

 

春の雪 子に先立たれ淡く溶け

   わびしさだけが積りゆくなり

 

 

時たまはトンカチするのもいいものさ

   心ごまかし生きるは重し

 

 

外国の大国前におくせずに

   前を見据えて堂々と行く

 

 

友達もはじめは誰もいなかった

なくせば作るそれが人生

 

 

 

 

 

人生を円転自在に行動す

   それが若さの象徴なりき

 

 

生も死も水の流れに流される

   浮き草のごと穏やかであれ

 

 

何ごともこころ輝き成功す

   陽(ひ)の輝きに星の輝き

 

 

仕事納め花の人生送ろうよ

   第二の人生好きな道草

   

 

昼食は創造的に空気食べ

   死に損なって草餅食べる

 

 

この世をば知らないうちに生まれてた

   死んでもともと猫はいだらけ

 

 

 

あの人も笑って語るこの人も

   生きてる間だ語り明かさん

 

 

頑張ったでも死んじゃってはしかたなし

   生きてる人に希望を託そう

 

 

誰だって生きてるうちは

   幾つになっても恋は必要

 

 

面倒だ勝とうと思えば負けがある

   負けてもともと色々楽し

 

 

神さまは愛するために心くれ

   考えるため脳みそくれた

 

 

人間はおしゃべり好きの生き物だ

   心もしゃべり目までしゃべる

 

 

春なれば人の心はお忙し

   花に愛を見海に愛を見

 

 

年寄りになりたくもありなりたくなし

   自覚はあるが言われたくはなし

 

 

久しぶり友の口元ほころびて

   幼き頃や元気はつらつ

 

 

 

 

老窓狂歌〈9〉73号

           佐脇喜久子

 

昼飯は創造的に空気食べ

   死に損なって草餅食べる

 

 

なまけ者過ぎにし人の生きざまに

   感動しながら駄菓子を食べる

 

 

困ったな書けなくなったよカキクケコ

   文は人なり他人ごとだよ

 

 

 

 

 

 

 

責任なし好きで年取ったわけでなく

   ボケたボケたと悲観をするな

 

 

年かさねこの身のつらさ重ね合い

   明日また会い語る楽しみ

 

 

憂鬱だ外に出せない見られない

   心は出せず捨てることできず

 

 

雨降れば明日は天気ださあ出発

   待てば日和で道は開ける

 

 

人間は好きこそものの上手なれ

   嫌いなことをやるはそんそん

 

 

 

生きるとは死することなり生なくば

苦労も無く老いることもなし

 

   

かけマンはいくつになっても知識欲

   旅行するより貧乏人向き

 

 

練習は体を使う苦しみだ

ボケーとしてては喜びはなし

 

 

子は宝一人で育った

   挨拶なしに逝ってしまった

 

 

 

小説を自由気ままに書きすさび

   将軍になり姫君になり

 

苦しみて泣いた後には食すすみ

   丸々太って福々しくなり

 

 

人生は思い出いっぱい長かった

   思い出だけであとはお終(しま)い

 

 

バカ間抜けプライバシーの侵害だ

   バカの中でも楽しみ見つけ

 

 

どこからか風が運んだ花びらを

素早く見つけてアリが住み家に

 

 

人はみなタデ食う虫も好き好きだ

   夫婦はみんな仲良しこよし

 

 

太り気味人は見かけに弱きもの

   年甲斐もなく一食抜かす

 

 

しとしとと小雨降る中お買い物

   あれもこれもと食欲の秋

 

 

人生は生きてる時間年取りて

   短く思う二十四時間

 

 

面白くない日を変えて面白く

   楽しく過ごすは人の心なり

 

 

あなたとはたとえ火のなか水のなか

   共に苦労を味わうなか

 

 

 

一日の仕事するのもいい加減

   酒のお燗もいい加減だよ

 

 

ちきしょうめこんなにはやく起きちゃって

   息することしかやることもなし

 

 

まだやるぞ賞味期限は切れてるが

   読み書きできれば友達出来る

 

 

長生きし生きているのが趣味だよと

   威張ってはいるがやることは無し

 

 

本当にいつまで生きていることぞ

   やるべきことを生きがいにして

 

これを辞世の句とする

 

ありがたや二十一世紀が失効す

   いつの日や我失効の日を待ちぬ

 

つつがなくただつつがなく生きました

   天に感謝し地に感謝する