『えん』ありがとう      放浪記  

『えん』ありがとう

 

   放浪記

 

 

 

 

    みつたけ 弘美

 

    さ わ き 喜久子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひろみ

 

秋です

人間世界を目指して

赤ちゃんが来ました

オギャアオギャアと

赤ちゃんが来ました

 

春が来ました

ツバメが大軍をなし

日本を目指して

飛んできました

春生まれたひろみ

 

秋生まれのひろみと春生まれた弘美

 

 秋生まれたひろみ

オギャアオギャアと

 泣き騒ぎました

春生まれた弘美が

すこやかに春をたたえました

ツバメ中から日本にやってきました

弘美と新とひろみが光武を守りました

草葉の陰で俊子も喜んでいるだろう

渡る世間に鬼はいず

渡る世間は福ばかり

 

 

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横浜から伊勢へ

横浜から伊勢にやってきた父を

夏子は心配して迎えに来たが大軍をなし

 

 

風は波の恋人

 

        風と波とは恋人同士

        切っても切れない恋人同士

        出会い頭にぶつかって

        当たって砕けよ

ビユービューと

        思い切りよく

        立ち騒ぎ

        しぶきを上げて舞い上がり

 

ポロポロポロ

         えみをこぼして

立ち去りぬ 

         風こそ波の恋人なり

         

 

 

 

 

若やいだ湖

奥山の

かくれた湖に

星が満面にきらめいた

顔を映して

喜びに満ち

美しく

星の数ほど若やいだ

我が幸せはいかばかりか

湖水から生まれいづる

 

孤独に悩む人

友が少なく

孤独に悩む

孤独なる人

その痛みを知らず

       友が多く

大勢に囲まれし人 

そのわずらわしさを知らず

 

 

小雨そよぐ

 

小雨の中で

大粒の涙を振り落とす

木の葉の憂愁

君はきづくや

木の葉の憂愁

 

お外に限る

 

緑は燃えに燃え

花は咲に咲き

五月の空は真っ青だ

家の中には誰もいない

楽しくのどかな

お外に限る

 

嵐の前の静けさ

 

何百という雀が

電線に飛んできた

正確に空間を開けて

止まっている

くっついている雀はいない

後から来た雀は

追い立てられて

最後尾につく

きちんと間隔をあけ

寒くないのかな

寂しくないのかな

明日の朝まで止まっているのかな

暗くなって外を見ると

お見事

一匹もいなくなっていた

夜も安全な雀の巣は

いったいどこにあるのだろう

明日は台風がやってくる

遠ざかりゆく

 

愛しき人は皆去りゆきて

一人なる苦しみに

おちいるは

自分だけにあらず

朝に泣き昼に泣き夜に泣く

自分にだけ付きまとう

この裏ざみしさ

 

歌びと語りべ

賑やかに

歌びと語りべ

和やかな

部屋から出るには

時間がかかる

スタバはやっぱり

憩いの場

 若き日

 

若き日の楽しみ

元気がみなぎり

忍びえる

幸あればこそ

忍びえる

やさしくあればこそ

情け深くあれ

    若き日は素晴らしい

 

そよぐ葉

  くすんだ真っ黒な葉

 濃紺の葉

 緑の葉

 そよそよとそよぐ

 薄い黄緑の葉

 何ともやさしく

 そよそよとそよぐ

やりたきことなら

 

不可能なことに

挑戦するのは難しい

しかし不可能に挑戦できるのは

人間だけだ

やりたいことなら

不可能なことにも挑戦すべきだ

 

それがいつまでも

 人間でいることなのだ

 

  幸せな友

 

旦那様の作った朝食を

食べる彼女は幸せ者

病気など治らないのが幸せね

一緒にいるのが幸せね

 

カラス誰の子カラスの子 

 

濡れそぼれたカラスが

歩道の側溝を

歩いていた  

頭からびしょぬれで

お気の毒にも

 

傘がない

今日のところはしのばにゃならぬ

時々ブルンと頭振り

しょんぼり

独りぼっちで歩いていた

 

 

 

 

 

野の花の運命 

春も盛りになりました

夢見心地で花を摘む

赤、白、紫、と

沢山花を摘みました

けれど なむさん

誰にもあげるあてもなく

せめて川べりに流して

 さようなら

旅は憧れ

いつでも、

どこへでも行ける旅が

歩けなくなって

旅が憧れになってしまった

車での旅しか行けなくなってしまった

それでも旅にあこがれる

人間のいつまでも続く果てしなき欲望か

 友よ君の心は

 

風よ

大空よ

太陽よ

もしもお前たちに

心があるならば

どんなに私は楽しめよう

 

草よ

花よ

木々たちよ

もしもお前たちに

心があるならば

どんなに私ははしゃげよう

 

友よ君の心が

間違いなしに

一番だけど

人間よ

 

耳あるものは聞くべし

口あるものは話すべし

頭あるものは考えるべし

手のあるものは使うべし

足あるものは歩くべし

 

みんな揃っている者は

忙しいが

幸せ者だ

 

 年かさね

 

あれも欲しいこれも欲しい

欲張り貪欲なくなって

あれも上げるこれも上げる

になっちゃって

喜びだけになっちゃった

 年かさね

 

社会から自由に解き放たれ

人から自由ももらい受け

自由時間はいっぱいだ

 

心の自由はどうなった

自分で自分を縛っている

プライド 意地っ張りは

どうなった

プライド意地悪捨て去って

心もコロコロ自由になった